4/7 (Fri) 静かな夜の気配

ぼんやりと滲んだ月　でした


三日月をすこし超えて

週末の夜の途中で

春なのに冷えた雲を連れて

ぼんやりと

消え入りそうに


滲んだ月　でした


さよならは告げずにゆくと言う君の固い背中を見つめ続ける／かのん

4/2 (Sun) すてき

『なまけものなまけてあればこおひいのゆるきゆげさへもたへがたきかな』

北原白秋



すてきね。

とっても　すてき。

4/1 (Sat) ゆうべの月

どこに居てもすぐにわかる

ふしぎとわかる

みえなくても
みえていても

影になっても

すぐにわかる

見上げた其処にきんいろの

チェシャムーン

いーをしたまま

見送られた


ゆっくりとあともどりする北風に閉じた蕾を毟る月光／かのん

3/26 (Sun) fragile

日が　暮れてゆきます

くもりぞらは
ゆっくりとゆっくりと　暮れてゆきます

ぼんやりとしたままの輪郭は

灯りはじめた　
ネオンや街灯のなかで

いっそう　淡く　しずんでゆきます


雨の気配が　遠ざかります


剥がされた星のかわりにマシュマロをていねいに貼る朝の陸橋／かのん

3/24 (Fri) さくらさくら

小学校に「卒業式」の札が立てられていました

咲きはじめた　さくらに送られて

あたらしい一歩を踏み出します

そしてまた

つぎの小さな一歩が

もうすぐやってきます

満開は過ぎてしまうけれど

降る花びらに迎えられて

小さな一歩が　やってきます


ちいさくしろくひらきました　さくらさくら　はなびらあふれてゆきます／かのん

3/21 (Tue) 揺れる葉先から

みどりが　かわる

次々と　あたらしく　やわらかに

かわる

ひろがる


季節をかえてゆく

みどりが　かわる


遠ざかる鈍色の雲見送れば指の隙間にあふるるみどり／かのん

3/19 (Sun) 風が往く

劫い風に水面がざわめく

北からの風は海に向かって
その羽根すべてを使い
水面を撫ぜてゆく

次々と波を生まれさせ
飛沫を散らし

銀色から鈍色へと
光の影を纏わせながら

幾度も幾度も
飽くことなく

ざわめかせている

3/13 (Mon) 月に光れて

仄かに紅を　のこしたまま

いまを　盛りと
あかるくやわらかい

そこだけ光りをうけて　際立つ

三月の　冷たい風に
凛として

夜に　香る

3/11 (Sat) にぎやかな川面

朝からとびきり元気なお日さまで
川面はきらきらと

いまは朝が満潮なのか
なみなみと満たされた水面を
仕事の船が上ってゆく

重たげに
でも滑るように
飾りの無い
平たい船が
上ってゆく

暖かい今日は
はじまったばかり

2/22 (Wed) つなひきをしながら

つなひきをしながら

それとも　かけひきをしながら

春と冬は　その居場所を変えてゆく

ゆっくりと傾いてゆく夕日は　春の気配を濃くしながらも
まだまだ油断は禁物と冷たい風をよせてくる

窓硝子に触れると冷たいけれど
その冷たさは真冬のようには固くない

今日はのんびりと春が綱を引いた